2009/12/24更新
最終回 明日から使える会議力アップ術:〈あなたは何ができそうですか?〉
2010/08/30更新
第32回 山野穴太のいまどきナースこぼれ話:ひよこが聞きたくない台詞
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ナースのための経営学入門2007/11/08
第11回 ナースのための経営学入門:CSR時代のホスピタルブランドの確立を目指そう!
大阪国際大学国際コミュニケーション学部 国際コミュニケーション学科教授 宮﨑哲也 最近、新聞や雑誌等でCSRという言葉を多く見かけるようになりました。CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任のことを指します。 企業における最大の社会的責任は、利潤の追求です。企業が利潤を上げることができなければ、顧客に製品やサービスを提供できなくなるばかりか、従業員の雇用も維持できません。また、福祉などへの、納税を通じた間接的な社会貢献もできなくなるわけです。そして、上場企業であれば、業績の落ち込みとともに株価も下がりますから、株主にも迷惑がかかります。こうした、さまざまなステークホルダーの立場からみても、企業にとって利潤の追求は重要な責任の一つといえます。 しかし、利潤を追求しすぎるあまり、商品の消費期限を改ざんして、少しでも売れ残りを処理しようとしたり、粉飾決算をして業績が上向いているようにみせたりしていたらどうなるでしょうか。人体に悪影響を与え、適正な市場取引を損なうようなことを行う企業が、社会的責任を果たしているとはとてもいえません。つまり企業は、利潤追求とともに、コンプライアンス(法令等順守)や社会的倫理にそった経営ができてはじめて、社会的責任を果たしているといえるのです。 医療機関の社会的責任とは 最近では、医療機関でもCSRならぬHSR(Hospital Social Responsibility)が重視されるようになっています。では、医療機関の社会的責任とは具体的にどんなことを指すのでしょうか。 まず考えられることは、質の高い医療技術やサービスを安定的に提供できることです。そのためには、高度な設備の導入や優秀な人材の確保などが必要です。そして、それらを実行するためには、安定的な経営が行われていなければなりません。 しかし、経営の安定を気にするあまり、むやみに診療報酬請求額を上げようとして医師が余分な薬を患者に処方したり、不要な検査を繰り返したりすれば、やがて「あの病院は、余計な診療や投薬をして、不当な請求をする」といった悪評が広がることになるでしょう。また、医療ミスや院内感染に関して、情報開示をせず再発を繰り返していたことが発覚すれば、医療機関の信用は完全に失墜してしまいます。 HSRを踏まえたホスピタルブランドの構築 インターネットが普及し、一般ユーザー(消費者や患者など)が以前にくらべて格段に高い情報発信能力を手にした今日では、企業と同様、医療機関でも不正や不適切な対応はこれまで以上に厳しく糾弾されるため、ますます社会的責任が重視されるようになっています。 逆にいえば、医療機関が組織的にPS(Patient Satisfaction:患者満足)を追求し、社会的責任を果たす努力をすれば、そのこと自体がホスピタルブランドの向上につながっていくとも考えられるわけです。 具体的には、治療成績はもとより、医療ミスや院内感染などに関するディスクロージャー(情報開示)や再発防止、無駄な検査や無駄な投薬などの排除、インフォームド・コンセントや個人情報保護の徹底、医療廃棄物の適正な処理の徹底、ITの活用などを通じて、患者とのコミュニケーションを円滑にすること、そして何より、医師や看護師および病院スタッフの患者に対する常日ごろからの思いやり深い対応などがあげられます。また、場合によっては、患者側がセカンドオピニオンを求めることに対して、肯定的なスタンスを示すことも大切でしょう。 このような、患者の視点に立った経営を実践できる優れた医療機関は、ホスピタルブランドの向上とともに医業収益の向上やコストダウンによるキャッシュフローの増大が見込めるだけでなく、それがサステナビリティ(組織の持続可能性)の向上につながり、ひいては病院経営の長期的安定をもたらすことになるでしょう。 |